ましもと内科呼吸器科

院内設備・検査機器

感染症迅速遺伝子検査機器(ID NOW)

 
 当院では2025年8月より、アボット社製の感染症迅速遺伝子検査機器 「ID NOW」 を導入いたしました。
 ID NOWは、感染症の原因となるウイルスや細菌の遺伝子を調べる検査システムです。
 従来のPCR検査と同じように遺伝子を検出しますが、「等温核酸増幅法(NEAR法)」 という方法を使うことで、検査にかかる時間を大幅に短縮。最短5~6分、13分以内で結果が分かります。

対象疾患
 ・新型コロナウイルス(COVID-19) インフルエンザウイルス 溶連菌感染症
   ※インフルエンザと溶連菌に関しては保険適用に制限があります。
 ・インフルエンザ:発症後12時間以内、かつ65歳以上の方や重症化リスクのある患者さん
 ・溶連菌:15歳未満のお子さんのみ

ID NOWの特徴
 1.短時間で結果が分かる
 従来のPCR検査は数時間〜半日かかることもありましたが、ID NOWでは外来診療中に結果が出ます。
 2.高精度の遺伝子検査
 PCR検査と同じく遺伝子を検出するため、抗原検査よりも感度が高く、早期診断に役立ちます。
 3.負担の少ない検体採取
 新型コロナ・インフルエンザ検査では、鼻の奥まで綿棒を入れる必要がなく、鼻の入口からの採取で済みます。挿入時の痛みや出血がありません。

PCR検査とID NOWとの違い
 ・PCR検査
 温度を上げ下げしながら遺伝子を増幅 → 高感度だが時間と設備が必要
 ・ID NOW(等温核酸増幅法)
 一定の温度で遺伝子を増幅 → シンプルかつ迅速(13分以内)

 ID NOWは感度はPCRよりやや劣るものの、抗原検査よりは優れており、外来でそのまま診断できる点が大きなメリットです。

検査費用(保険3割負担の目安)
  1.COVID-19遺伝子検査:2,630円  
    参考:抗原定性検査 960円
  2.インフルエンザ遺伝子検査:1,400円  
    参考:抗原定性検査 900円
  3.COVID-19+インフルエンザ同時遺伝子検査:3,500円  
    参考:同時抗原定性検査 1,180円

富士ドライケム IMMUNO AG1

 

 当院では、富士ドライケム IMMUNO AG1というデンシトメトリー分析装置を用いて、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)抗原の迅速検査を行っています。
 この装置は、写真フィルムで培われた銀増幅技術を応用した高感度システムを搭載しており、発症初期でも検出しやすいのが特徴です。
 検査は咽頭(のど)ぬぐいで検体を採取し、約15分で結果がわかります。
 銀増幅により目印粒子を約100倍に増幅することで、従来よりも高い感度で抗原を検出でき、初期段階の感染でも捉えやすくなりました。

検査の限界について
 ただし、この迅速抗原検査は万能ではありません
 従来の抗原検査より感度は向上していますが、遺伝子検査と比較するとやや感度は劣ります。
 この富士ドライケムの銀増幅抗原検査の感度は85-90%(発症1-3日76.9%/4-6日93.8%/7日以降96%、発症後1-2週間の間が陽性になりやすい)であり、従来の抗原検査の感度は60-70%と言われています。
 そのため、陰性の結果であってもマイコプラズマ感染を完全に否定できるわけではありません。
 臨床現場では、症状や周囲の流行状況を総合的に判断し、検査が陰性でもマイコプラズマ感染症と診断し治療を開始する場合があります。

検査費用(保険3割負担の目安) 950円

自動血球計数CRP測定装置 Yumizen H635 CRP

 
 受診当日に、血算(CBC)29項目+CRPを同時に測定できる最新機器です。結果が早く出るため、その場で分かりやすくご説明し、必要な治療へつなげます。

当院での主な活用例
 ・発熱・咳など急性症状の評価:白血球5分類とCRPを同時に確認し、抗菌薬の必要性を検討する際の参考にします(最終判断は総合的所見に基づきます)。
 ・喘息・慢性咳嗽の評価:好酸球数の把握により、喘息やアレルギー性疾患などの治療方針検討に役立ちます。
 ・貧血や出血傾向のチェック:赤血球・血小板などの基本項目をその場で確認し、必要な対応につなげます。

検査費用(保険3割負担の目安) 
 末梢血液一般+末梢血液像+CRP:1140円

呼気NO(一酸化窒素)検査

 当院では、呼気NO検査を導入しています。
 この検査は、10秒ほど一定の速度で息を吐くだけで行える、負担の少ない簡単な検査です。

呼気NO検査とは?
 ・気管支喘息では、気道の好酸球性炎症により呼気中のNO(一酸化窒素)が上昇します。
 ・喘息の診断は症状だけでは難しい場合がありますが、この検査は喘息の補助診断として有用です。

判定の目安
 ・呼気NO値が37ppb以上の場合、特異度99%とされ、ほぼ間違いなく喘息と診断できます。
 ・ただし、数値が低くても喘息を完全に否定することはできません。喘息のタイプによっては呼気NOが上昇しないこともあります。

検査の意義
 ・喘息の診断を助けるだけでなく、治療に伴う炎症の改善を数値で確認できるため、喘息コントロールの指標になります。

咳喘息について
 ・喘息の中には、**咳だけを主な症状とする「咳喘息」**があります。
 ・咳喘息はぜーぜー・ひゅーひゅーといった気管支狭窄症状がない軽症の喘息ですが、呼気NOが高値であれば診断の助けになります。

👉 「咳が長引く」「他院で喘息と言われたが納得がいかない」という方は、この検査によって客観的な評価が可能です。

検査費用(保険3割負担の目安) 720

AI技術を活用した、胸部X線画像診断支援システム

胸部X線AI解析について 
 喘息の診断を当院では、**富士フイルム社「EX-Mobile」**を用いたAI解析を導入しています。

 AIが胸部X線画像を自動で解析し、以下のような異常が疑われる領域を検出・マーキングします。
  ・結節・腫瘤影(肺がん、肺結核など)
  ・浸潤影(肺炎など)
  ・気胸
 検出された領域を医師が再確認することで、見落とし防止を支援し、より確実な診断につなげます。
 なお、この検査により追加費用が発生することはありません。


 〇枠、矢印部位に、白いうっすらとした影がありますが、見落とす可能性があります。


 AI処理で、同部位が緑色にマーキングされました。
 その後、手術が行われ、早期肺がんと判明しました。

胸部CT検査

 
 当院では2014年8月より、16列ヘリカルCT(富士フィルム社  Supria)を導入しております。
 この装置により、より短時間で被ばくを抑えつつ、高画質のCT画像をご提供できるようになりました。
 通常の胸部X線写真では分かりにくい 早期の肺がんや肺気腫(COPD) なども、CT検査によって発見できることがあります。早期診断・早期治療に大きく役立つ検査です。

検査費用(保険3割負担の目安) 4410

病医院専用の空気清浄装置

当院の感染症対策について
 当院では、新型コロナウイルス感染症をはじめとする空気感染・飛沫感染の対策として、院内の空気環境を清浄に保つ取り組みを行っています。
 ・待合室・診察室
 天井に高性能・医療機関専用の空気清浄装置「クリーンシステム35M」(枠)を設置しています。
診察室
待合室

 ・レントゲン室・処置室
 医療機関専用空気清浄機「クリーンパーティション」を稼働させています。

 これらの装置により、空気中に浮遊する ウイルス、細菌、カビ、塵埃、悪臭などを除去 し、常に清潔で安心できる院内環境を維持しています。
 患者さんが安心して受診できるよう、今後も感染症対策の徹底に努めてまいります。