ましもと内科呼吸器科

非結核性抗酸菌症 マック症

家族(60歳、女性)が非結核性抗酸菌症と診断されました。どのような病気なのでしょうか。

 非結核性抗酸菌症は、非結核性とあるように、結核菌以外の抗酸菌という菌による感染症で、肺感染症をおこします。  結核菌以外で、肺感染症をおこす抗酸菌にはいろいろな種類があります。わが国ではマック菌(アビウム菌とイントラセルラーレ菌を併せたもの)が最も多いことより、この病気はマック症とも言われています。  近年、この病気は中高年の女性中心に急増しています。結核症とは違い、ヒトからヒトには感染しません。この菌は水や土に広く生息しているので、そうした環境から感染すると考えられています。  この病気は結核よりはゆっくりと進行し、病変の消長を繰り返しながら、10-20年かけて悪化していきます。進行すると、咳、痰、血痰、発熱などがみられますが、最初は自覚症状はなく、健診の胸部X線写真で偶然見つかることも多い病気です。  診断は、胸部CTでの比較的特徴的な陰影に加え、喀痰の培養検査で同じ菌が2回以上検出されることが必要です。  この病気の厄介なことは、結核症とは違い、薬が効きにくいことです。非結核性抗酸菌症の大部分を占めるマック症に対して、数種類の抗結核薬とクラリスロマイシンという抗生剤を1年以上使用しますが、治療に難渋したり、再発したりする症例も存在します。  自覚症状のない人や、高齢者に対しては、無治療で経過をみる選択肢もあります。

多発空洞()を認める、かなり進行した非結核性抗酸菌症