ましもと内科呼吸器科

妊婦 胸部レントゲン

妊婦です。肺炎が疑われ、胸部レントゲンを撮りました。本当に大丈夫だったのでしょうか。

 人は地球上で、大地や宇宙から自然被ばくを受けています。その数値は、平均すると年間2.4ミリシーベルトになります。
 飛行機に乗ると、宇宙線が降り注いでいる中を飛行するため、搭乗者全員が被ばくします。例えば、東京からニューヨークを1往復すると、約0.11ミリシーベルトの被ばくをしますが、この量は胸部レントゲンを撮影した時よりも少し多いくらいの被ばく量なのです。
 実際の胸部レントゲンでは胸部に絞って、X線が照射され、胸部以外では極々微量の散乱したX線が当たる程度です。散乱したX線を「散乱線」と呼ばれますが、散乱線の強さは直接当たるX線(直接線)の1/100程度です。
 妊婦さんの腹部に鉛の入った防護エプロンを付けることもありますが、これでもってあらゆる方向から来る、「散乱線」の侵入を防ぐことはできません。もちろん、防護エプロンを付けることによって、安心感は得られますが、重たい思いをするだけで、無意味といわれています。
 100ミリシーベルト以上の被ばくで胎児に影響が出る可能性がありますが、その場合でも全例異常が出るわけではなく、1から5%に過ぎません。
 胸部レントゲンでは胎児への被ばく量は0.01ミリシーベルト未満ですので、検査が必要と判断された場合には、妊娠のどの時期に胸部レントゲンを撮っても、胎児への影響はないものと考えられています。