縦隔気腫
縦隔気腫とはどんな病気?
胸の真ん中の隙間に、空気が漏れて溜まる病気です 突然の胸痛と違和感
縦隔気腫とは?
縦隔気腫(Pneumomediastinum)とは、本来空気が存在しない**「縦隔(じゅうかく)」**という場所に、空気が漏れ出て溜まってしまった状態のことです。
「縦隔」とはどこにあるの?
左右の肺に挟まれた、胸の中央部分の空間を「縦隔」と呼びます。ここには、心臓、大動脈、気管、食道、胸腺などの重要な臓器が収まっています。
何らかの原因で肺や気管、食道などが損傷し、そこから漏れた空気がこの隙間(縦隔)に入り込むことで発症します。

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主な症状
最も一般的な症状は胸の痛みです。その他、空気の漏れ方によって以下のような症状が現れます。
・胸痛: 胸の中央(胸骨の裏側あたり)に痛みを感じることが多いです。深呼吸や咳で悪化することがあります。
・呼吸困難: 息苦しさを感じることがあります。
・首の痛み・腫れ: 漏れた空気が首の皮下(皮膚の下)まで広がると、首が腫れたり、押すと「プチプチ」「ジャリジャリ」とした雪を握るような感触(皮下気腫)があったりします。
・喉の違和感・嚥下痛: 飲み込みにくさや、声の変化を感じることがあります。

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原因と分類
縦隔気腫は、原因によって大きく「特発性(とくはつせい)」と「続発性(ぞくはつせい)」の2つに分けられます。
1. 特発性縦隔気腫(自然に起こるもの)
明らかな基礎疾患や外傷がないのに突然発症するタイプです。
・特徴: 痩せ型の若い男性に多く見られます。
・誘因: 激しい咳、大声を出した時、排便時のいきみ、重いものを持ち上げた時、管楽器の演奏など、胸腔内の圧力が急激に上がった瞬間に肺胞(肺の小さな袋)が破れて起こることが多いです。
・予後: 多くの場合、良性で自然に治ります。)
2. 続発性縦隔気腫(他の病気や怪我が原因のもの)
何らかの病気や外傷が原因となって起こるタイプです。原因によっては重篤になる場合があり、注意が必要です。
・外傷: 交通事故や高所からの転落などによる胸部打撲。
・医原性: 内視鏡検査や手術などの処置によるもの。
・疾患: 気管支喘息の発作、間質性肺炎、食道破裂(特発性食道破裂:ブールハーフェ症候群)、ガス壊疽などの感染症。
・その他: 薬剤の誤飲や異物誤飲など。

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検査と診断
診断には画像検査が不可欠です。
・胸部レントゲン検査: 縦隔や首の周囲に、本来ないはずの空気の影(透亮像)がないかを確認します。
・胸部CT検査: レントゲンでは分かりにくい微量な空気の漏れや、原因となっている病変(肺のブラや食道の損傷など)を詳しく調べるために行います。

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(実際の症例 26歳女性)
縦切りのCT像;気管の周囲に、漏れ出た黒い空気の層が見られる

治療について
治療方針は、原因(特発性か続発性か)によって大きく異なります。
1.特発性の場合
基本的には安静療法が中心です。
・安静にし、経過観察を行います。
・痛みがある場合は鎮痛剤を使用します。
・多くの場合、漏れた空気は自然に体内に吸収され、数日から1週間程度で軽快します。
2.続発性の場合
原因となっている病気の治療が優先されます。
・食道破裂や気管損傷などの場合、緊急手術やドレナージ(溜まったものを排出する処置)が必要になることがあります。
・感染症を伴う場合は、抗菌薬の投与を行います。

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まとめ
「縦隔気腫」と診断されると驚かれるかもしれませんが、若年者に多い「特発性」の場合は、安静にしていれば後遺症なく治癒することがほとんどです。 ただし、背景に別の病気が隠れている場合(続発性)は専門的な治療が必要となります。胸の痛みや違和感を感じた際は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
特発性縦隔気腫と自然気胸はどう違うの?
空気の漏れる場所が違います
どちらも、ある日突然、胸の痛みや違和感に襲われる病気で、**「若くて痩せ型の男性」**に多いという共通点があります。 しかし、空気が漏れている「場所」と、それによる「肺への影響」が異なります。
1. 空気の漏れる場所の違い
特発性縦隔気腫
肺の奥にある小さな袋(肺胞)が破れ、漏れた空気が気管支の血管の束に沿って、**胸の中央(縦隔)**へ入り込みます。
・ポイント: 空気はさらに上へ移動しやすいため、**首の周りに空気が溜まる(首の腫れ・違和感)**ことが多いのが特徴です。肺そのものはしぼまないため、強い息切れはあまり起こりません。
自然気胸
肺の表面にできた「ブラ」や「ブレブ」と呼ばれる風船のような袋が破れ、**肺の外側(胸腔内)**に空気が漏れ出します。
・ポイント: 漏れた空気が肺を押しつぶしてしまうため、**息苦しさ(呼吸困難)**を感じやすくなります。

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2. 治療と経過の違い
特発性縦隔気腫
・治療: 基本的には安静にするだけで治ります。特別な処置や手術が必要になることは極めて稀です。
・経過: 順調にいけば空気は吸収されます。一度治れば、再発することは滅多にありません。
自然気胸
・治療: 肺のしぼみ具合によって治療が変わります。軽度なら安静で済みますが、中等度以上の場合は、チューブを入れて空気を抜く処置が必要です。空気漏れが止まらない場合や再発を繰り返す場合は、手術を行うこともあります。
・経過: 治療すれば治りますが、**「再発しやすい」**という特徴があり、注意深い経過観察が必要です。
3.まとめ
・「首が腫れて、胸の真ん中が痛い」 → 特発性縦隔気腫の可能性
・「急に息苦しくなって、片方の胸が痛い」 → 自然気胸の可能性

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