睡眠時無呼吸症候群
いびきがひどく、起床時の頭痛や昼間の眠気があるのですが、睡眠時無呼吸症候群という病気でしょうか。
睡眠時無呼吸症候群の可能性はあります。
この病気は、いびき、夜間の呼吸停止、起床時の倦怠感や頭痛、日中の眠気や集中力の低下、夜間頻尿、居眠りによる交通事故などで疑われ、肥満傾向にある中年男性に多く、女性では閉経後に増加すると言われています。
この病気は上気道、すなわち咽頭部の閉塞により起こり、その原因として、肥満に伴う上気道への脂肪の沈着、扁桃腫大、巨舌症などがあります。
上気道が閉塞すると、呼吸が止り、酸欠状態を繰り返します。これは睡眠中に素潜りをしていると同じことであり、また、無呼吸から呼吸を再開させる度に脳が覚醒し、睡眠が分断され、睡眠時間は十分取っているのに、熟睡感が得られなくなります。
このような状態が長く続くと、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞、夜間突然死、認知症などを引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群の診断について教えてください。
この病気が疑われた場合、まずは入院せずに自宅で簡易検査を行い、一晩の睡眠を通しての無呼吸(10秒以上の呼吸停止)や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度をもとに診断していきます。
1時間当たりの無呼吸数と低呼吸数を合わせたものを、無呼吸低呼吸指数と言いますが、この値が5以上の場合、睡眠時無呼吸症候群と診断します。
無呼吸低呼吸指数5-15が軽症、15-30が中等症、30以上が重症とされています。
睡眠時無呼吸症候群の治療について教えてください。
治療としては、1)生活習慣の改善、2)持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)、3)手術、4)歯科装具による治療があります。
1)生活習慣の改善
減量や、飲酒の制限、禁煙、睡眠薬の制限などにより、睡眠時の無呼吸が改善します。
仰向けで寝るよりも、横向きで寝ると上気道の閉塞を軽減できる場合があります。
抱き枕などを使って横向きで寝られる工夫をしてみるのも良いでしょう。
2)持続陽圧呼吸療法(CPAP療法、シーパップ療法)
一定圧を加えた空気を、鼻から送り込むことによって、上気道の閉塞を取り除き、睡眠中の気道を確保する非常に有効な治療法です。中等から重症の睡眠時無呼吸症候群にはこの治療が第一選択になります。
①簡易検査で、無呼吸低呼吸指数が40以上であれば、健康保険が適応されます。
②簡易検査で、無呼吸低呼吸指数が20以上、40未満の場合は、専門の施設に一泊入院して、睡眠状態をトータルにみる検査の結果で、健康保険が適応されます。
③簡易検査で無呼吸低呼吸指数が20未満の軽症の場合は、この治療法の保険適応はなく、生活習慣の改善や、歯科装具による治療が選択されます。
3)手術による治療
気道閉塞の原因が扁桃腫大などの場合に限られます。
4)歯科装具による治療
軽症の睡眠時無呼吸症候群が適応になります。マウスピースを作製して、下あごを前方に引き出して空気の通りを良くするものです。マウスピースの作製は歯科で行い、健康保険が適応されます。